事業
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キノファーマでは、子宮頸がんの原因であるHPV感染を治療する新しい抗ウイルス薬を開発しています。
毎年57万人の女性が子宮頸がんを発症し、その半数以上である31万人が死亡している。子宮頸がんの原因はその99%が子宮頸部へのヒューマン・パピローマウイルス(HPV)の持続的感染であることが解明されている。
子宮頸部へのHPV感染は性交渉によりもたらされる。感染したHPVは、自身が持つ免疫機構により排除される場合もあるが、一部の感染は持続感染となる。HPV持続感染は、子宮頸がんの前がん疾患である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN、子宮頸部異形成とも呼ばれる)へと発展し、その異形成は段階的に、軽度なCIN1から、中等度のCIN2、さらに高度のCIN3へと進み、最終的に「がん化」へと向かう。「がん化」する前に子宮頸部組織から効果的にHPVを排除すると、組織の回復・正常化がもたらされ、がんになる前に治療ができることが想定されている。残念ながら、CIN患者に対して、効果的にHPVを排除できる抗ウイルス薬はまだ承認されていない。
HPV感染を予防する目的にHPVワクチンが開発されており、既に各国で承認されている。セクシュアル・デビュー(初交)前にHPVワクチンを接種することが望ましく、日本小児科学会/日本産科婦人科学会では11~14歳での接種を推奨している。HPVワクチンの接種により、子宮頸がんの発症率を70%程度抑えることができるという医学的データがある。しかしながらセクシュアル・デビュー前に接種のできなかった女性は必ずしもこの恩恵にあずかれない。残念ながら日本では、HPVワクチン接種率が低調のままである。
CINには治療薬がない。CINの進行が進む女性に対しては、「がん化」をする前に子宮頸部を円錐状に切除する手術が用意されている。この手術法では子宮自体を温存し、将来の妊娠にも道を開いているが、一方で早産リスクの上昇などを招くという医学的な指摘もなされている。また、CINの進行に気が付かず、子宮頸がんを発症してしまう患者も多い。
キノファーマでは、CINに対して、効果的な治療薬を提供することを最優先の事業として取り組んでいます。CINと診断されても、子宮頸がんになる不安を抱えながら経過観察を続けるしかない患者に、HPV感染を除去して、CINを治癒する道を提供したい。既に複数国での臨床試験が開始されており、一日も早い医薬品承認を目指しています。
キノファーマは、全身への投与、あるいは皮膚や眼などの疾患部位局所への投与、さらには脳へ到達することを目的とする投与など、病気によって求められる最適投与法に対応できる医薬品開発を目指し「低分子化合物」による新薬の研究開発を推進しています。
低分子医薬品は、生物製剤による医薬品などに比べて製造コストが格段に低く、今後医薬品がますます求められてくる新興国なども含めて、全世界の医薬品を求める患者の方々が負担可能な価格での医薬品提供をできることを目指しています。
当社は、京都大学と共同開発契約に基づく医師主導治験に対する支援や、複数の共同研究を実施するなど、アカデミアの叡智とバイオベンチャーのスピード感を融合した研究開発体制を構築しています。
また、当社京都研究所は、京都大学桂キャンパスの隣接地に産学公連携の新産業拠点として整備された「京大桂ベンチャープラザ」に設置されており、緊密な産学連携による研究開発の促進を進めております。