「大学で産み出された先端的な医学研究成果から、ベンチャー企業の手によって医薬候補化合物が創り出され、臨床試験を経て、満足な治療薬のない疾患を対象とする新薬が承認される。」
これがキノファーマの取組む分野です。志の高い大学研究者からの研究成果とキノファーマの経験豊富な医薬品開発プロフェッショナル・チーム、さらにこの仕組みを支える機関投資家が組み合わされることにより達成ができます。当社の継続的な取り組みにより、いまだ治療薬のないウイルス感染症に対する治療薬の患者への提供が実現しつつあります。
人類はウイルス疾患によって、多くの命を奪われてきました。現代においても、健全な生活を脅かすウイルス感染を完全に抑制させることはできていません。
京都大学大学院医学研究科の萩原正敏教授との共同研究によって創出された治療薬候補化合物は、ほぼ全てのDNAウイルスの増殖(転写)を封じ込めるというユニークな作用機序を有しており、様々なウイルス性疾患に対する治療薬を開発することが可能です。
まず開発を進めているのが毎年30万人以上の女性が命を落としている子宮頸がんをその発症前に治療することを目指す抗ウイルス薬です。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染によって発症します。子宮頸がんへと進行する前に発見されたとしても有効な治療薬がないために、子宮頸部や場合によっては子宮全体を摘出するなど、女性にとって大きな負担を強いる現状を改善できないままであります。
当社では、HPV感染症に対する取り組みから開始し、さらに未だ有効な薬が開発されていない他のウイルス感染症への抗ウイルス薬の開発を展開する方針です。
次に取り組んでいるのが神経変性疾患への治療薬です。人生100年時代を迎え、アルツハイマー病への効果的な治療薬の開発は喫緊の課題です。キノファーマでは、京都大学・東京医科歯科大学の協力を得て、ダウン症の原因となるトリソミー21番染色体に属する遺伝子Dyrk1aを標的とする低分子薬を開発しております。ダウン症患者は早期にアルツハイマーを発症することが知られております。すでにスペインの研究チームにより、Dyrk1a阻害能を有する緑茶抽出成分がダウン症患者の認知機能を改善するという臨床研究が発表されています。本化合物は、動物モデルにて認知機能低下を有意に抑える効果を有し、かつ安全に、効果的に脳へ到達ができる特徴を有しております。この化合物も、一刻も早く開発を進め、患者様へのご提供を目指していく所存です。
これらのプロジェクトで得た知見・経験は、リスクの高いといわれる新薬開発に有効な手段であり、当社では継続的に次のアカデミア創薬の実現に生かしていきます。この活動を通して当社一同、安心して暮らせる社会の創造に貢献したいと考えております。
代表取締役社長CEO 黒石 眞史